2018年9月16日日曜日

その扁桃、とるべきか、とらざるべきか!?

 喉に「扁桃」という組織があります。
 通常、扁桃というと喉を開いた時に左右に見える口蓋扁桃のことを言います。
 扁桃とはリンパ球という免疫細胞が集まってできています。
 免疫というのは体に悪さをする細菌やウイルスなどを捕らえる防御システムのことです。
 喉というのは呼吸や食事などで体外との交通が多いため、こういう免疫システムが発達しており、その一部分として扁桃は活躍しています。

 扁桃が大きい、などと検診などで言われることがあると思います。
 扁桃は口を開ければ見えますので、検診などで指摘を受けやすいのですね。
 ただ大きいだけでは治療とは結びつきませんが、扁桃が大きい場合には呼吸・睡眠障害に繋がりやすいので注意です。
 扁桃は気道に位置しているため、大きすぎると気道を狭くしてしまいます。
 気道が狭くなると、寝ている時にいびきをかいたり、時折呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群という病状に繋がる危険があります。
 睡眠時の症状は自分ではなかなかわかりませんので、扁桃が大きいと言われた場合には家族に睡眠の状態をチェックしてもらうと良いです。
 自分でも寝起き時にも疲労感があるだとか、日中の眠気が強い、集中力がないなどの場合には睡眠の質が悪い可能性があります。
 扁桃が大きいことにより睡眠障害をきたしている場合には、扁桃を手術にて摘出する必要がある場合があります。
 特に扁桃は7〜8歳ごろに生理的に最も大きくなります。子供にとって睡眠はとても大切なものです。睡眠障害があると、成長ホルモンの分泌や学習能力にも影響をすることがあります。子供のいびきが気になる場合には、一度扁桃のサイズをチェックした方が良いかもしれません。

 また、扁桃炎といって扁桃に急性感染を生じる場合があります。
 扁桃炎は通常の風邪などと比べて病状が強いことが特徴です。
 大人でも38度を超える高熱が出たり、非常に強い咽頭痛にて食事が食べれなくなったりします。
 また、扁桃炎は繰り返しやすいことも特徴です。
 扁桃炎を繰り返す場合や、入院を要するようなひどい炎症を生じた場合などは、扁桃炎の再発予防のためにやはり手術が必要となることがあります。

 その扁桃、とるべきか、とらざるべきか…。
 お悩みの際には是非ご相談ください。

2018年9月7日金曜日

なぜ耳鼻咽喉科はみみ・はな・のどを見るのか?

耳鼻咽喉科医として診療をしていますと、みみ・はな・のどを一つの診療科にまとめた理由がよくわかります。
みみ・はな・のどというのはそれぞれ独立した器官でありながら、密接につながっているからです。

耳は、鼻の奥と耳管という管でつながり換気されています。耳抜きができる人はそのつながりがよくわかります。耳抜きとは、鼻を指でつまんで、鼻に空気を送りこむと耳に空気が抜ける現象です。鼻が感染し、いわゆる青鼻というのが出るようになると、耳管が腫れて耳が詰まった感じが出るようになったり、感染が耳に広がり中耳炎になったりします。
鼻は直接のどともつながっていますから、感染性の鼻水がのどにおちると、のども感染し痛くなってきます。風邪をひいた後、いつまで経っても咳が治らない場合、副鼻腔炎による鼻水ののどへの落下が原因であったりすることもあります。

これら上気道の不調を総合的に評価し、調子を整えるのが耳鼻咽喉科の得意分野です。
みみもはなものども普通にのぞくだけでは十分な評価が行えませんので、顕微鏡やファイバーなどいろいろな機器を駆使して、的確な診断を行います。
ファイバーを使用すればモニターに画像を映し出すこともできます。みみもはなものども自分の体でありながら、自分では見えない部分となります。そういった部分の不調は、不安になりますよね。それぞれの病変部を観察することで安心できることもあるかと思います。病気の不安を解消する一助になれたらと思います。いつでも受診してくださいね。