2023年6月5日月曜日

耳鼻科健診について 〜言い訳を添えて〜

 みなさま、新学年になり耳鼻科健診の季節になりました。クリニックが休診日である木曜日に、担当している学校にちょこちょこ健診に行っています。

 健診のやり方や疾患の診断ラインなどはそれぞれのドクターによって様々な作法があろうかと思いますので、ここに記載するのは私の作法であり、考えです。

 親御さんにしてみたら学校でおこなっている耳鼻科健診は直接見えないので、どんな感じで診ているのか、どんな思いでやっているのか、知ってもらえたらと思い、この記事を書いています。

・健診の流れ

 お子さんの順番がきたら、まず保健の先生や担任の先生に親御さんから提出してもらったプリントを読み上げてもらいます。

 親御さんからみて、どんな症状が気になっているのか、今までどんな疾患にかかってきたのか、今通院中なのか、治療は行っているのか。これをまず頭にインプットします。

 その後、その情報をもとに、両耳⇒鼻⇒のどの順番に診察をします。気になる症状があれば、プリントの内容と照らし合わせて総合的に判断し、受診の必要があればその旨を保健の先生に伝えて終了、といった感じです。

・まずお伝えしたいこと。

 親御さんのプリント、めちゃくちゃ参考にしてます。

 テレビの音が大きいと書いてあれば、耳垢がつまってないか、鼓膜は問題ないか、注意してみます。

 鼻がつまっている、鼻血が多いと書いてあれば、アレルギー性鼻炎や急性鼻炎がないか、注意してみます。

 何も記載がないならないで、気づかれていないような耳鼻科疾患がないかどうか。ここで私が見逃したら、この子の損失にならないかどうか、注意してみます。

 明らかにアレルギー性鼻炎があっても通院中で治療しているならば健診でひっかける必要もないだろう、と判断しますし。アレルギー性鼻炎で通院中でも、耳垢がつまっていたらひっかけよう、と保健の先生にお伝えしてます。

 通院中、治療中はしっかり記載してください。人数の多い学校ですと1日に400人近くを一気にみますので、うちのかかりつけ患者さんでもプリントにチェックがないと思わずひっかけちゃいます。定期通院のときに謝るはめになるんですけど。ごめんなさい。

・健診の悩み①

 悩むのは、健診でひっかけるということは耳鼻科に受診をしてください、と伝えるということになっちゃう点です。

 受診して治療の適応があるような疾患をひろいあげることは健診の意義なのでよいのです。悩むのは、ちょっとした耳垢があるよ、軽いアレルギーがあるけど本人も特に困ってないし、治療するほどでもないよ、というくらいのレベルのものをどうするか、ですね。これは今はひっかけてないです。

 以前は親御さんに疾患の認識をもってもらうためにも軽症でもひっかけていたときもあったのですが、クリニックにきてもらって治療せずに経過観察も申し訳ないので、アレルギー性鼻炎であれば中等症〜重症くらいを目安にひろいあげています。耳垢も鼓膜が見えなくて、プールなどの際に問題になるかもしれない、くらいのレベルを目安にひろいあげています。

・健診の悩み②

 耳鼻科健診をいつ行うか、というのも悩ましい問題です。耳鼻科健診はだいたい4月〜6月に行うことになっています。プールの前に耳をみるのがその理由かな、と思っています。

(最近は温水プールを借りて早めにプールを始めている学校もあるようなので、健診が間に合ってない可能性もあります。すみません)

 4月くらいだとまだ花粉症の影響が強いので、アレルギー性鼻炎の子を多めにひろいあげることになります。

 6月くらいにやると花粉症が落ち着いていますので、アレルギーでひっかける子が減ります。

 この差も問題なのですが、学校医を担当している数が小学校と高校合わせてそこそこの数ありますので、ご容赦いただきたいです。

 また、健診と耳鼻科受診のタイムラグも問題なんですよね。

 4月に健診をして花粉症がひどくてひっかける。しばらくして健診結果のプリントをもって受診していただいたときには、花粉症が落ち着いていて、治療は必要なさそうですね、となってしまう。

 これは、前のところでも書いた、親御さんに疾患の認識をもっていただく、ということでご容赦いただきたいところです。あくまで健診のタイミングでは治療適応のある状態だった、ということになります。

 このあたりが表題の言い訳を添えて、の部分になりますね。

・話が長くなってきたので、最後に

 健診にも大きな意義があります。耳垢で耳がつまって聞こえが悪くなっている子やアレルギー性鼻炎がひどすぎて鼻呼吸ができていないのが通常運転になっていて気づかれていない子、そういう子をひろいあげることが健診の意義だと思います。

 そういう子をみつけたときには、健診をやっててよかったなあ、と思います。

 今までで1番びっくりしたのは、耳にヒマワリの種が入っていた子がいたことですね。健診がなかったら、そのまま気づかれず、耳から芽がでてきていたのでは?というのは、さすがに冗談ですが。少しでも隙間があれば聞こえの悪化はないので、気づかれなかったのではないかな、と思います。異物が耳の中に入ったままだと、外耳炎を発症する可能性もあります。


 健診でも、日々の診療でも、大切なお子様を診させていただくのですから、責任と情熱をもって対応させてもらいます。これからもよろしくお願いいたします!

2023年5月30日火曜日

いびきをかいているお父さんいませんか?

 いびきをかく、というのは気道のどこかが狭くなっていることを示しています。
 鼻と口からはいって、喉で一本道になって、声帯を通り抜けて、気管にはいる気道の道筋のどこかに狭くなっているところがあるのです。
 さらにいびきに耳をすませてみましょう。
 ガー、グー、ガー、グー、ガ、グッッッ。
 止まりました!
 これが睡眠時無呼吸です。
 いびきと無呼吸は気道のふさがり具合の強さの違いになります。少しでも隙間があれば、いびきになりますし、完全にふさがってしまうと無呼吸になります。
 どちらも気道が狭くなっているということを示しています。

 いびきも無呼吸もどちらも良好な睡眠とは言えません。
 睡眠って人間にとって大切なものです。
 基本的にはみなさん、毎日寝ると思います。
 日々の積み重ね、まさに塵もつもればなんとやら。
 適切でない睡眠を積み重ねていくと、高血圧や脂質代謝異常、糖尿病などの生活習慣病につながるリスクが高まりますし、それらはそのまま心臓や脳の血管病変のリスクにつながっていきます。
 心臓でいえば心筋梗塞や狭心症、脳でいえば脳梗塞や脳出血。

 よくニュースなどで運転手の居眠り運転が睡眠時無呼吸によるもの、なんて耳にされることがあるかと思います。
 車を運転する仕事の方はもちろん、どんな仕事の方でもよりよい未来のために、自分の睡眠を、家族の睡眠を見直してみませんか?

 いびき、睡眠時無呼吸が気になる方、当院ではまず気道の精査を行います。鼻の通り具合、アデノイドのサイズ、のどの広さ、扁桃の大きさ、舌の大きさ、一通りチェックをして、どこが閉鎖の原因になっているかを探します。
 その後、睡眠検査を行います。
 自宅に検査機器を送付しますので、ご自身でいびきや呼吸、脈拍をチェックするモニターを装着してもらい、一晩寝てもらうだけです。
 睡眠の解析を行い、総合的に治療介入すべき睡眠かどうかを確認させていただきます。

 家族の未来のために、いびきをかいているお父さんがいましたら、是非とも連れてきてくださいね!
 

2023年5月29日月曜日

スギ舌下免疫療法の制限について

 今年のスギ花粉症が大量飛散だったこともあってか、スギ舌下免疫療法の希望が全国的に増えているようです。
 急激な需要の増大に供給が追いつかないようで、新規導入の数を制限するため、出荷制限を行うという通達がでました。

 今のところスギ舌下だけで、ダニ舌下は制限はかかっていません。

 当クリニックでスギ舌下免疫療法の初回導入を行う場合、しばらくの間、予約制になります。
スギ舌下の予約のために受診をされた順に、予約番号をお渡しします。入荷が決まり次第、番号順に連絡をさせていただき、舌下の初回導入の予約をとらせていただきます。
 ただし出荷制限の解除に関しては今のところ未定であるため、予約をいれてあっても希望の時期にはじめられない可能性があります。

 ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解の程よろしくお願い申し上げます。