2019年3月17日日曜日

舌下免疫療法についてもう少し知りたい方へ

 舌下免疫療法を検討中の方に知っておいて頂きたいことをもう少し書いておきます。
 舌下免疫療法は長期間投薬を続ける治療になります。
 そのためその治療が本当に適応になるのかどうかを採血で事前に調べる必要があります。スギ花粉に対する抗体が陽性となるクラス2以上の患者さんにおいて治療がすすめられます。当院にて採血を行うこともできますし、以前に採血をしてスギ花粉の抗体が確認できていれば、それを元に治療開始の判断をいたします。その場合には必ず治療相談時に以前の採血結果を持参してください。


 スギ花粉の抗体が確認できたら、クリニックにて初回投与を行います。診察室内で実際に舌の下に錠剤を入れて、飲み込んでもらいます。その後、30分は院内にて副作用の出現がないかどうか待機をしてもらいます。
 2日目以降は自宅にて1週間投薬をしてもらいますが、初めの1週間は初期投与量とされる少なめの量となります。2週目からは維持投与量といって量が増量になります。その量でも副作用の出現がない、もしくは副作用がアレルギー薬の投薬にてコントロール可能な範囲と判断できた場合には、以後からは月に1回の受診にて投薬を続けていくこととなります。


 アレルギーがあるとわかっている人に原因抗原を投薬しますので副作用の生じる割合は高くなります。ただし多くは口の中や舌のピリピリ感などの軽度な症状であり、概ね普段通りに過ごせることが多いです。中には喘息発作や蕁麻疹などの投薬を中断しなければならない副作用を生じたなどの報告もありますし、アナフィラキシーショックなどの最重症アレルギー反応にも注意が必要となります。
 そのためもともと重症喘息や重症アトピー性皮膚炎、重症食物アレルギー、スギ以外でもアレルギー反応が強いなどのアトピー素因の高い方に関しては副作用出現のリスクが高くなりますので、当院では治療は行なっておりません。
 また、高血圧治療にてβ遮断薬という薬を使用していると副作用出現時に対応に支障が出る場合があるので、こういったケースでも治療はお薦めいたしません。


 舌下免疫療法の効果は個人差があります。スギ花粉症の方でも全ての方に十分な効果が期待できるわけではありません。花粉症症状が出なくなる方もいれば、効果が無効の方もみえます。また花粉の飛散量も年度によって異なりますので、前シーズンとの単純な症状の比較がしにくいといった問題もあります。
 効果は最初の数年は治療年数により高まるとされています。最初のシーズンで効果を感じられなくても、次のシーズンで効果が出現する可能性もありますので、まず2シーズンは投薬を行うことをお薦めしています。
 効果が出る方でも、花粉飛散のピーク時には対症療法薬を併用していただく可能性があります。その場合でも対症療法薬を例年よりも弱い薬に変えられる場合が多いです。


 最後に、治療をどれだけ続けるか、という問題があります。
 今までの研究で舌下免疫療法を3年間継続した場合、中止後も2年間治療効果が持続したという報告があります。また、4〜5年継続した場合、中止後も8年効果が持続したという報告があります。
 そのため、3〜5年の治療継続がすすめられると考えられており、おおよそ治療期間の倍くらいの期間の効果継続が見込まれます。
 治療終了後に症状が再燃したら、また1〜2年の再治療を行います。
 

スギ花粉症の皆様へ 〜舌下免疫療法について〜

 今年はスギ花粉の飛散量が多く、「ここ数年は市販薬で対応できていたのに今年は症状がひどく市販薬で対応できない」、「今まで花粉症と言われたことはないが、今年から花粉症を発症したよう」と言った意見が多く聞かれました。特に飛散量のピーク時には、抗アレルギー薬の内服治療、点鼻・点眼治療を併用していても、アレルギー反応の方が薬の効果を上回ってしまい、花粉症症状に苦しまれた方も散見されました。
 スギ花粉症の苦しみを実感された今、皆様にお伝えしたい治療があります。それが「スギ花粉の舌下免疫療法」です。
 これはアレルゲン免疫療法と呼ばれる治療で、減感作療法とも呼ばれます。


 アレルギーというのは本来体に侵入したウイルスや細菌などの異物を排除する免疫機構が、花粉などの体に害のないものに対し過剰に反応してしまう症状のことです。アレルギーの原因となる花粉などの物質をアレルゲンと言います。このアレルゲンを少量から体に投与することで体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療です。
 通常、花粉症の治療として病院やクリニックで処方される抗アレルギー薬はあくまで対症療法であり、アレルギー反応を薬で押さえ込んでいる治療であり、アレルギー反応を減じさせることを目的とする免疫療法は従来の治療とは根本的に異なっています。


 当院で行なっているアレルゲン免疫療法が近年話題になっている舌下免疫療法です。
 舌下免疫治療の具体的な治療方法としては、スギのアレルゲンの治療薬を舌の下に置き1分間保持をした後、飲み込む、これだけです。その後、5分間はうがいや飲食を控えていただく、服用前後2時間程度は激しい運動、アルコール摂取、入浴を避けていただくなどの制限があります。これは副作用の出現をできるだけ抑えるための配慮です。


 ただし大事な点は、この治療はスギ花粉症の時期だけではなく、1年中毎日の投薬が必要となることです。そのため、今この時期に舌下免疫療法を考えてもらうことが大切です。喉元過ぎれば熱さを忘れてしまいます。1年中、治療を継続して行うためには相応のモチベーションが必要となります。スギ花粉症に苦しんだ記憶が鮮明な今こそ、来年のこの時期を心穏やかに過ごすためにこのような治療があることを知って欲しいのです。
 特にスギ花粉症があり、来年受験生の方。受験シーズンはまさにスギ花粉シーズンです。花粉症に対して事前に対策してもらうことも、受験に対する備えになるかと思います。


 スギ花粉症の舌下免疫療法はスギ花粉の飛散時期には新規導入は行なっていません。来シーズンに向けた治療は6月以降開始していきます。興味のある方は是非受診してください。

 

2018年9月16日日曜日

その扁桃、とるべきか、とらざるべきか!?

 喉に「扁桃」という組織があります。
 通常、扁桃というと喉を開いた時に左右に見える口蓋扁桃のことを言います。
 扁桃とはリンパ球という免疫細胞が集まってできています。
 免疫というのは体に悪さをする細菌やウイルスなどを捕らえる防御システムのことです。
 喉というのは呼吸や食事などで体外との交通が多いため、こういう免疫システムが発達しており、その一部分として扁桃は活躍しています。

 扁桃が大きい、などと検診などで言われることがあると思います。
 扁桃は口を開ければ見えますので、検診などで指摘を受けやすいのですね。
 ただ大きいだけでは治療とは結びつきませんが、扁桃が大きい場合には呼吸・睡眠障害に繋がりやすいので注意です。
 扁桃は気道に位置しているため、大きすぎると気道を狭くしてしまいます。
 気道が狭くなると、寝ている時にいびきをかいたり、時折呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群という病状に繋がる危険があります。
 睡眠時の症状は自分ではなかなかわかりませんので、扁桃が大きいと言われた場合には家族に睡眠の状態をチェックしてもらうと良いです。
 自分でも寝起き時にも疲労感があるだとか、日中の眠気が強い、集中力がないなどの場合には睡眠の質が悪い可能性があります。
 扁桃が大きいことにより睡眠障害をきたしている場合には、扁桃を手術にて摘出する必要がある場合があります。
 特に扁桃は7〜8歳ごろに生理的に最も大きくなります。子供にとって睡眠はとても大切なものです。睡眠障害があると、成長ホルモンの分泌や学習能力にも影響をすることがあります。子供のいびきが気になる場合には、一度扁桃のサイズをチェックした方が良いかもしれません。

 また、扁桃炎といって扁桃に急性感染を生じる場合があります。
 扁桃炎は通常の風邪などと比べて病状が強いことが特徴です。
 大人でも38度を超える高熱が出たり、非常に強い咽頭痛にて食事が食べれなくなったりします。
 また、扁桃炎は繰り返しやすいことも特徴です。
 扁桃炎を繰り返す場合や、入院を要するようなひどい炎症を生じた場合などは、扁桃炎の再発予防のためにやはり手術が必要となることがあります。

 その扁桃、とるべきか、とらざるべきか…。
 お悩みの際には是非ご相談ください。